資産運用、始める前に知っておくべき5つの落とし穴とは?

資産運用は、老後の安心や将来の備えとして注目されていますが、知識が不十分なまま始めてしまうと、思わぬ損失につながる危険性があります。特に、初めて運用を始める方は、メリットだけでなくリスクや注意点をきちんと把握しておくことが大切です。本記事では、元銀行員の視点から、運用初心者が陥りがちな「5つの落とし穴」についてわかりやすく解説していきます。






リスクゼロの甘い言葉に注意

「元本保証で年利5%」「絶対に損しません」といった言葉を耳にしたことはありませんか?

これらは一見魅力的ですが、投資において“絶対”や“確実”は存在しません。こうした言葉を使う営業トークの多くは、仕組みが複雑だったり、高リスクの商品だったりする可能性があります。特に高齢者をターゲットにした詐欺まがいの勧誘も後を絶たず、注意が必要です。

本当に信頼できる商品なのか、自分自身で確認する姿勢が重要です。金融庁のHPや正規の金融機関を通じて情報を確認し、不明点がある場合はその場で契約せず、必ず第三者に相談しましょう。

商品の仕組みを理解しないまま始める

資産運用にはさまざまな商品がありますが、それぞれ仕組みやリスクが異なります。

たとえば外貨預金は金利が高く見える一方で、為替変動によるリスクがあります。投資信託は手軽に分散投資ができますが、運用手数料や信託報酬がかかり、リターンに影響します。

また、保険を活用した商品は保障がある一方で、途中解約に大きな損が出ることも。商品を選ぶ前に、「どんな仕組みなのか」「どんなときに損をする可能性があるのか」をしっかり理解しておくことが大切です。パンフレットだけでなく、重要事項説明書や契約書の細かい点にも目を通し、納得してから始めましょう。

ライフプランを無視した運用計画

資産運用は「余裕資金で行うもの」とよく言われますが、余裕があるように見えても、将来的な出費を見越しておかないと、思わぬところで資金が足りなくなることもあります。例えば、医療費や介護費用の備え、住宅の修繕、子どもや孫への援助など、シニア世代には突発的な出費が多くあります。

こうした支出を踏まえたうえで、いくらまで運用に回せるのかを冷静に判断することが重要です。また、収入が年金のみという方は、運用資金の取り崩しタイミングにも注意が必要です。無理のない計画で、ライフプランに即した運用を心がけましょう。

税金と社会保障への影響を見落とす

資産運用で得た利益には、税金がかかるケースが多いことをご存じでしょうか?

たとえば株式の配当や売却益、投資信託の分配金などには約20%の税金が課されます。これに加えて、利益が一定額を超えると、住民税や介護保険料が上がる可能性もあります。特に高齢者の場合、非課税だと思っていた年金や医療費の自己負担割合に影響が出るケースもあり、要注意です。運用を始める前に、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用できるかどうかを調べ、自分に合った方法で効率よく運用しましょう。税と社会保障は密接に関わっているため、事前の確認が不可欠です。

他人任せにしすぎる運用

「知り合いに勧められたから」「銀行の担当者が勧めてくれたから」といった理由で、内容をよく知らないまま金融商品を購入する方が少なくありません。しかし、資産運用はあくまで自分の責任で行うべきものであり、他人任せにすることで後悔するリスクが高まります。

勧められた商品が本当に自分に合っているのか、自分のリスク許容度や資産状況に合致しているかをしっかり考える必要があります。また、判断力が低下してきたと感じる場合は、家族と情報を共有し、運用方針を話し合っておくことも重要です。

「自分の資産は自分で守る」という意識を持ち、安心して長く付き合える運用スタイルを確立していきましょう。

まとめ:「落とし穴」を避けて、安心・堅実な資産運用を始めよう

資産運用は、うまく活用すれば将来の安心につながる手段です。しかし、今回紹介したような「5つの落とし穴」を知らずに始めてしまうと、損をしたり、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

運用を始める前に、冷静にリスクを見極め、自分に合った方法を選ぶことが大切です。何よりも大切なのは、自分の目的やライフスタイルに即した「納得感のある運用」を目指すことです。本記事が、皆さまのより安心な資産運用の一助となれば幸いです。

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